#3 所属企業が2回変わったあと、GiGOからGENDAに出向・転籍。「何でもやる課」の総務としてグループ内での立ち位置を築く【宝島】

株式会社GENDA
人事総務部
石川正敏
略歴
2008年大学卒業後にマイナミアミューズメント株式会社に入社。ゲームセンター「ぷれいらんど373」の店長を2店舗、エリアマネージャーを2エリア務める。2017年2月に所属企業の吸収合併が行われ、株式会社宝島ホールディングスへ転籍。2店舗の店長を務めた後、2020年9月に本部・人事総務グループへ異動。2022年5月、所属企業の吸収合併が再び行われGENDA GiGO Entertainmentに転籍し、人事部人事課に配属。2022年9月に株式会社GENDAへ出向。2024年2月にGENDAに転籍し現職。

入社9年半で会社が吸収合併される。
最初のM&Aの時は意外と冷静だった・・・

大学卒業後に入社したのがゲームセンターを運営するマイナミアミューズメントという会社でした。ゲームセンター業界を選んだ理由は、大学が保育系だったため、子どもと触れ合える仕事をしたいと考えていたからです。

最初に配属された東京の店舗で1年半ほど経験を積んだ後、千葉のららぽーと柏の葉でオープニング店舗(現GiGO)の店長を務めることになりました。ららぽーとに出店するのは初めてのことだったので会社の期待が大きく、自分自身もスタッフの結束力を高めるために1人1人の誕生日を祝うなど熱意を持って取り組んだことを覚えています。

その後、1店舗の店長を経て、前述の東京の店舗でエリアマネージャーになりました。スタッフは店長も含め入社当初に配属された時のままだったので、「おかえり」といった和やかな雰囲気で迎えられ、上に立つというより一緒にお店をもり立てるという感じで働きました。当時の店長のことは、心の中では「東京のお母さん」と思っていて、未だに交流があります。

入社して9年半経った2017年9月頃。大阪の店舗でエリアマネージャーを務めていた時に、マイナミアミューズメントは同じくゲームセンターを運営する株式会社宝島ホールディングス(以下、宝島)に吸収合併されることになりました。私にとって所属していた企業が吸収合併されるというのは初めての経験でしたが、本部機能のある東京から離れていたせいか意外と冷静に受け止め「気付いたら宝島の社員」という状態でしたね。

「総務の仕事のお客様は従業員」は、今も業務に取り組むうえでの指針

宝島では大阪府内で3店舗の店長を経験しました。はじめこそ前社との運営スタイルの違いに戸惑いましたが、M&Aの直前まで私がエリアマネージャーをしていた大阪の店舗が、宝島の店舗へリニューアルされる第1号となり、否が応でも宝島のやり方を体得することに。例えば、前社では外注していた床のワックスがけなども宝島では自分たちでやるなど、「何でも自分たちでやる」というのが宝島の社風でした。

2店舗目までは順調でしたが、3店舗目でスタッフとの信頼関係を築くのに非常に苦労しました。そこは宝島の中でも大型の店舗でスタッフはベテランが多かったんです。自分たちの店に愛やこだわりが強い分、新しく入ってきた僕への風当たりは優しいものではなくて…。信頼関係を築くことができず、ボイコットをされたことがありました。店内のレイアウトを変更することになり、他店舗からも応援を派遣してもらったのですが、肝心の自店のスタッフが誰1人として来ない状況で、立場がありませんでしたね。

この時の反省からリーダー格のスタッフとよく話し合うように心がけました。そのような状況でも、何人かのスタッフが味方に付いてくれたことも大きな助けになりました。今でも感謝しています。

こうして1年ぐらいかけて3店舗目の運営もうまくいくようになった頃、東京の本部にくるように、と話がありました。「大阪の店舗で苦労しても続けている根性のあるやつがいる」という評判が立っていたらしいです。そこからまた多少の紆余曲折を経て人事総務グループに在籍し、総務・労務・人事の仕事を全て担当することになりました。ゲームセンターの現場で働いて12年。今までの仕事とは異なる総務の仕事に着任したばかりの頃はどんな心持ちで働けばいいのか、と迷っていたのですが、当時の上司から「仕事には常にお客様がいる、君のお客様は従業員だ」と言われ、自分の役割が整理できました。言い換えると「従業員が心地よく働けるようにするのが総務の仕事」だと理解し、その言葉は今も私が業務に取り組むうえでの指針になっています。

GiGOによるM&Aを誰よりも前向きに受け止めたのは一生懸命受け入れようとしてくれる姿勢に接したから

2022年5月に今度は宝島がGENDA GiGO Entertainment(以下、GiGO)に吸収合併されました。私にとって2回目の経験ですが、誰よりも前向きに受け止めた自信があります。宝島の本部で総務・労務・人事の担当をしていた私は、GiGOの管理部門の様々な人たちと接する機会が多く、その人たちが宝島の社員を一生懸命受け入れようとしてくれているのを日々実感していたからです。

一方、ゲームセンターの現場で働くメンバーは、そういった機会がなくすごく後ろ向きになってしまう人もいて……。ですから、その溝を埋めようと頑張りました。吸収合併されて自分たちの居場所が無くなってしまうのではないか?という不安を打ち消してもらおうと、「GiGOには面白いぐらいいい人たちが揃っているから、全然心配しなくて大丈夫」ということを繰り返し伝えました。その時、わたしが感じていたことは間違っていなかったと思います。2023年9月20日、東京・池袋にオープンした「GiGO総本店」を訪れて確信しました。遅い時間とは思えないお客様の多さ、最新機種が並ぶキラキラして明るい店内。ゲームセンターの現場に長くいたからこそ、GiGOはこんな素晴らしいお店を出せる会社なんだと感激しました。感動の涙を流してしまったのは、ここだけの話です(笑)

話を戻すと、私がGiGOによるM&Aに前向きになれたもう一つの理由は、GENDAの申社長が旧宝島の従業員向けに説明会をする際に配布された資料にあります。そこには「世界一のエンタメ企業を目指す」とあったんですね。この言葉を目にしたときの「おおっ!」という衝撃は今でも忘れません。GENDAグループであるGiGOにグループインすることで、世界一を目指す企業の一員になれる。これには本当にワクワクしました。

GiGOに転籍して人事部人事課に配属されましたが、実際には浅草の旧宝島本社のオフィスにとどまり残務処理をしなければならず、人事課としての仕事はオンラインでのやり取りを通じて行っていました。そして4カ月ほどたったころGENDAへの出向の声がかかったのです。GiGOからGENDAの総務に出向していた人がGiGOに戻ることになり、その後任に私が選ばれたようです。

プロフェッショナルが揃うGENDAに出向。M&A前の会社では味わえなかった刺激と面白さが

まさかこんな展開になるとは思っていなかったので驚きました。GENDAはすごい経歴の人たちが在籍する会社ですから、ゲームセンターしか知らない私がその中に入って一体何ができるのだろうかと不安にもなりました。ですが、宝島に転籍して以来、何でも自分でやってきたという経験は確実に生きていると思います。

GENDAの皆さんは、専門分野ではもちろん優れた能力・スキルをお持ちですが、仕事をするうえでオフィス環境に関する困り事は出てくるものです。そこをお手伝いするのが自分の役割だと捉え、古い総務像かもしれませんが「何でもやります、何でもやる課です」と公言し、グループ各社も含めて困り事の相談があればどこにでも顔を出すように心がけました。もちろん今もそうしています。その積み重ねにより、顔と名前が一致している社員の数は人事担当者が把握しているよりも多いかもしれません(笑)オフィス内を歩くと各社各部署から「石川さん、石川さん」と声が掛かかります。これは1年4カ月の出向期間を通じ、GENDAの中で「石川」という立ち位置を築けたことの証かもしれないなと自信につながっています。

GENDAはどの部門においてもプロフェッショナルが揃っていますし、取引先も幅広く、今までは決して味わえなかった多くの刺激を受けています。毎日が面白くて仕方がないですね。そんな環境の中で仕事を続けたく、希望を出して2024年2月からGENDAの人事総務部に転籍しました。1回目、2回目の転籍は会社の事情によるものでしたが、3回目の転籍は自分の意思によるものです。

これまで真摯に仕事に取り組んできた人なら、グループインで確実に展望が開けるはず

現在、人事総務部の中で私が担当しているのは資産管理で、固定資産と呼ばれるパソコンなどの高額品や備品類の管理をするのが本業です。その枠組みに囚われず、オフィスの困り事解決や環境整備も続けていきたいと思います。宝島時代に上司からもらい自身でも大事にしてきた「総務のお客様は従業員だ」という考え方に基づき、グループを含めて社員の皆さんにストレスのない状態で働いてもらえるようにするのが大きな使命の一つと考えています。M&AによりGENDAにグループインする会社は、今後も増えていきます。GENDAグループに入ってよかったと思ってもらえるように総務の立場から支えになれたら嬉しいですね。

その具体的な取り組みとしてこれから進めていこうとしているのが、グループ全体の業務の知見や仕組み、事例等を集積した「ナレッジベース」のようなものの作成です。何か問題点や疑問点が生じたときに、解決につながる社内の仕組みや過去の事例などが確認できると仕事が進めやすくなるはずです。そのシステム作りをし、グループ内の誰もが利用できるようにしたいです。

最近GENDAにグループインした、あるいはこれからグループインするという会社の従業員の人たちは、先行きがどうなるのか、大なり小なり不安を抱いているのではないでしょうか。一つ言えるのは「GENDAは人が抜群にいい」ということ。経歴を見ると正直、腰が引けるほどすごいのですが(笑)会って話すと、こちらが今まで取り組んできた仕事の成果など本質的な部分を見て評価してくれる姿勢が伝わってきます。ですから今まで真摯に仕事に取り組んできた人であれば、グループインにより今まで経験できなかったことに挑戦する機会を掴むことができると思います。

GENDAに転籍して約2か月、上場企業で働くことなど社会に出たときには想像もしていなかったのでまだ信じられない気持ちがあります。今後も、会社の成長・拡大と共にできることがどんどん増えそうだという期待感を持ちながら、日々仕事に取り組んでいきたいと思います。

関連M&Aの概要

株式会社宝島(本社:東京都台東区、以下宝島)。2022年1月末にGENDAのグループ企業である株式会社GENDA GiGO Entertainment(本社:東京都港区、以下GiGO)が全株式を取得。同年5月、GiGOと宝島が合併。