主軸であるゲームセンター以外のM&Aが多いが、シナジーやPMIは大丈夫か?

世界一のエンタメ企業を目指す当社は、M&Aのターゲットを市場規模が5,400億円のゲームセンター業界に限定することなく、エンタメ業界全体をターゲットとしております。エンタメ業界の各社が同一企業群となることで、実態的には無数のクロスセルのシナジーが発生しており、結果的にゲームセンター以外でもグループイン後で大きく業績が伸びております。

ゲームセンターではない会社で、連結への影響が大きい具体例として、フクヤ及びシン・コーポレーションがありますが、M&A直後の1期目となる今年度で、それぞれ創業71年来・創業35年来の最高益の達成が確実となっております。これは、シナジー無しでは説明が困難だと考えております。


その前提ではありますが、M&Aにおいて、シナジーやPMIはあくまで手段であり、目的ではありません。M&Aを成功させるために目的とすべきは「M&Aにより獲得したキャッシュフロー総額が、支払ったM&A対価を上回ること」です。それに対して、シナジーやPMIを目的としてしまうという「手段の目的化」がM&Aの失敗の典型例だと考えております。以下、詳細についてご説明いたします。


・当社に於けるM&Aの失敗は、M&Aの結果として資金を減らしてしまうこと

まず、当社に於けるM&Aの失敗の定義を記載させて頂きます。当社に於けるM&Aの失敗の定義は「M&Aにより獲得したキャッシュフロー総額が支払ったM&A対価を下回ること」、つまりM&Aをしたことで結果的に資金を減らしてしまった状態を指します。その理由は次の通りです。


株式会社である以上、株式価値の最大化が求められます。株式価値の最大化には企業価値の最大化が必要です。企業価値の最大化にはキャッシュフローの最大化が必要です。それにも関わらず、「M&Aで支払った金額>M&Aで獲得したキャッシュフロー総額」となるのは、M&Aを行った結果キャッシュフローを失ったことになるので、株式価値を毀損します。


当社では、株式価値を毀損するようなM&A、つまり「M&Aにより獲得したキャッシュフロー総額が、支払ったM&A対価を下回ること」を「M&Aの失敗」と定義しております。換言すれば、「M&Aにより獲得したキャッシュフロー総額が、支払ったM&A対価を(現在価値ベースで)上回ること」が「M&Aの成功」の定義となり、これを目的化しております。


・M&Aの失敗の典型例は、シナジーやPMIを目的としてしまう「手段の目的化」

M&Aによる目的は上述の通りであり、シナジーやPMIはあくまでキャッシュフローを増加させる手段となります。しかし、「シナジーやPMI」という手段を目的としてしまう「手段の目的化」が、M&Aの失敗の典型例だと考えております。具体的には「既存事業とシナジーが出そうだしPMIで伸ばせそうだから(取得価格に関わらず)M&Aをする」ということです。

特定の分野でM&Aを積極的に続けた際に、シナジーが出そうだ、という理由だけで、取得価格を気にせずM&Aを続けてしまうと、実際にシナジーが出たとしても、取得価格がそれを上回るほど高く、結果的に投資回収に失敗するケースがあります。あくまでキャッシュフローを目的化すべきであり、シナジーやPMIを目的化することは、M&Aの失敗の典型例となります。


・M&Aに於いて、シナジーの目的化による失敗が起きやすい背景

そういった失敗が起きやすい背景には、M&Aの持つ以下の特性があると考えています。

・高い金額を支払ってさえしまえばM&Aが容易にでき、直後にPLを増加させられる

・一方で、取得価格が適切だったかが判明するのは、M&Aから数年後である

・M&Aは工数が多いためサンクコストが大きく、現場はできることならM&Aを完遂したい

・その解決策として、シナジーを大義名分として、取得価格に対する牽制機能が甘くなる

という特性です。この誘惑に負け「シナジーが出そうだから(多少高値に目を瞑って)M&Aをしよう」という、手段の目的化が典型的な失敗の原因となっていると当社は分析しております。


・シナジーやPMIは大丈夫か?という疑問の前提は「M&A=割高である」という思想

M&Aに際して「シナジーやPMIは大丈夫か?」という一般的な疑問があります。この疑問の根柢にあるのは「M&Aにおける取得金額は、対象会社単独のキャッシュフロー対比では基本的に割高であり、シナジーやPMIにより対象会社のキャッシュフローを増加させないとそもそも回収できず、M&Aが失敗に終わる」という考え方です。


しかし、M&A=割高である、という前提は、正しい前提ではありません。当社のターゲットであるエンタメ業界では、業歴が長く安定した業態、ネットキャッシュのバランスシート、事業承継ニーズなど、M&Aに適した構造が存在しております。詳細については、下記スポンサードリサーチレポートをご覧ください。

(参考:2024年10月18日「Capital Growth Strategies(イニシャルレポート)」


・GENDAは、投資会社のM&A目線を用いて、エンタメ領域に特化したM&Aをする事業会社

当社としては、シナジーやPMIありきでM&Aをするのではなく、あくまで適切な価格でのM&Aを最重要視しております。キャッシュフロー増加を目的としないとM&Aは失敗となり、それが担保されるかどうかが投資判断軸となります。前述の誘惑を認知したうえで、手段の目的化を避け、株式価値の理論に忠実な投資を心掛けております


そのうえで、クロスセルのシナジーが無数に発生しております。実際に発生しているシナジーの具体例をQ2で、それゆえにGENDAは投資会社ではなく事業会社であるということをQ3で、コングロマリットの合理性をQ4で、そしてGENDAの戦略とAspirationの「世界中の人々の人生をより楽しく」との繋がりをQ5でご説明させて頂きます。

Tag: 2024年11月29日 回答