#6 GENDAとGiGOの橋渡しをしながら、働きやすい環境をつくり、 GENDAの成長と拡大につなげたい【セガ エンタテインメント】

株式会社GENDA人事部長
株式会社GENDA GiGO Entertainment管理本部長
斉田雄自

略歴
1997年に新卒で株式会社セガ・エンタープライズ(現株式会社セガの前身)入社。高知、広島、福岡でゲームセンターの店長を7店舗歴任後、2009年に九州南エリアのエリアマネージャーに。2012年に本社(東京)の景品調達課課長となり、以降は本社勤務。2015年に人事部教育課課長、2018年に人事部副部長、2020年に人事部部長に就任。同年12月にM&Aによりセガ エンタテインメントがGENDAにグループインし、社名がGENDA SEGA Entertainmentとなり同社の人事部部長に。2022年にGENDAが全株式を取得し 現在のGENDA GiGO Entertainmentに。同年、GENDA人事部に部長として出向、翌2023年にGENDA転籍。2024年2月にGENDA人事総務部部長とGENDA GiGO Entertainment取締役管理本部長兼務、2025年2月より現職。

思い入れ深い「クラブセガ博多」を手放したつらい経験

ゲームセンター業界で働く出発点になったのが、1997年に新卒で入社したセガ・エンタープライズです。当時、同社は学生に人気の企業で、私もセガというブランドに憧れがありました。セガのゲームセンターの旗艦店だった「池袋GiGO」もよく利用していて親しみがあり、こんな楽しい店舗を運営している会社で働きたいというのが志望動機でした。ちなみに「GiGO」というのはセガの中でも超大型店、選ばれた店が冠する屋号だったので、GENDAにグループインしてからもGENDA GiGO Entertainmentという社名の中に残り、店名にも「GiGO」が引き継がれていることには深い感慨を覚えています。

入社後は12年ほどゲームセンターの店長(計7店)を務めました。全てのお店に思い入れはありますが、特に印象に残っているのはクラブセガ博多ですね。この店舗は新規出店と同じ規模で改装をする必要がありました。どんな店にするかはほぼ任されていたので、店舗のスタッフをはじめ近隣の店長仲間にも協力してもらい、時には深夜のファミレスでアイデアを出し合ったりして学園祭のようなノリで店を作り上げていきました。大変ではありましたが、楽しくいい経験です。

ですが、2009年 、九州南エリアのエリアマネージャーになった時に苦境が訪れます。会社全体としてゲームセンター事業の業績が落ち込み、規模縮小を敢行しなければならなくなったのです。思い入れの深いクラブセガ博多を手放すことになり、その手続きを自身で行うことになりました。改装で協力してくれた店長たちの退職が続いたり、店舗のスタッフもよその会社に移ってしまったり……。非常に辛かったです。同時に、もう絶対にこんなことはしたくないと痛切に感じました。

ゲームセンターの現場を離れ、本社勤務へ

店舗の整理はエリアマネージャーになってから半年ほどでほぼ終わり、それからは管轄になった店のブラッシュアップに注力しました。九州にはクレーンゲームのプライズ運営に長けた地場のゲームセンターがあり、そうした店に小まめに足を運び、運営ノウハウを研究・分析して本社にレポートをあげ、プライズ運営に強い人材を育成しているうちに、本社の景品調達課へ異動しないかと声がかかったんです。

景品調達課の業務内容は、景品を仕入れて店舗に届けるというものだったのですが、それについては優秀なメンバーが揃っていたので、私はもっぱら仕入れた景品や在庫の景品をどう活用するか、店舗内にクレーンゲーム機をどう配置すればお客さんに関心を持ってもらえるかといったことを探求し、それらをまとめたプライズマニュアル作成やその落とし込みに注力しました。

そういった経験もあり、2015年に人事部教育課へ課長として異動しました。教育課では店舗従業員の教育を中心にマニュアルの整備や研修の企画などに携わり、以降、領域を広げながら「人事」に関わっています。

コロナ禍が始まった年にGENDAにグループイン。
成長と拡大を期待され、社風にも変化が

人事部長となった2020年はコロナ禍が始まった年で、営業停止を余儀なくされました。窮地に追い込まれた時に、M&AによりGENDAにグループインするという話が持ち上がり、片岡会長から「コロナが収束したらエンタメは絶対に復活するから、店舗の閉店もリストラもしない」という趣旨の心強いメッセージをもらいました。驚きと同時に、非常に嬉しかったですね。

もちろん、入社当時のセガへの憧れだとか、慣れ親しんだところから離れる不安がないかというと嘘になるのですが、このままでは店舗数は縮小されるし、閉塞感も少なからず感じていたので、大きな変化が必要だということは痛感していたところでした。そういう意味でGENDAへのグループインは、当初こそショックを受けたものの、片岡会長の言葉もあってすぐに前向きに捉え直すことができました。

GENDAから求められたのは「成長と拡大」。リスクや採算を足枷とせず、スピード感を持ってチャレンジすることが優先されるので、活躍の場が広がるはずだと考えましたし、ワクワクとした期待感も覚えました。実際、グループイン後は失敗を恐れずにチャレンジしようという社風に変化していきました。はじめはネガティブに捉えていた従業員もポジティブな姿勢に変わっていったと感じています。

GENDAへ出向し、
これまでの経験をもとに 人事制度を構築

GENDAにグループインしたのは2020年12月。セガ エンタテインメントの株式85.1%がGENDAに譲渡され、社名がGENDA SEGA Entertainmentに変わりました。グループインのタイミングで片岡会長から約4000人の 従業員全員宛てに直筆の激励の手紙が贈られたのには深い配慮を感じました。さらに片岡会長は1年かけて全国に約200あった全ての店舗に足を運んでくれたのです。

私は引き続き人事部長として仕事をしていました。2022年1月GENDA GiGO Entertainment(以下、GiGO)に社名が変わり、その年にGENDAに人事部長として出向することになりました。当時、GENDAには人事担当者はいたものの人事部という専門部署はありませんでした。これからグループを拡大し、株式市場への上場も目指す中で人事制度を整備する必要が生じ、「やってみないか」と声を掛けていただきました。

GENDAへの出向には多少不安もありました。社員として名を連ねている人たちは弁護士や会計士などのスペシャリスト揃いで、しかも当時は20代の執行役員 がいた。若く優秀な人ばかりの中に自分が溶け込めるのか心配だったのですが全くの杞憂でした。GENDAの人たちは互いにリスペクトしあっていて、 働いていて非常に気持ちがよく、すぐに馴染むことができました。

“GENDAというバス”の座席に座り、
素晴らしい景色を見たい

出向から1年たち、2023年には自ら希望を出してGiGOからGENDAに転籍しました。理由は2つあります。1つは自分たちで築いた人事制度です。会社への貢献度を待遇にダイレクトに反映させられるような制度を導入しました。ですが自分自身は出向者なのでGiGOの人事制度で評価されるGENDAのみんなと一緒に働きながら、自分だけ蚊帳の外にいる気がして「それでいいのだろうか」という疑問が大きくなっていったのです。

もう1つの理由は、GENDAというバスの座席に座りたいということです。「ビジョナリー・カンパニー」(日経BP社刊)というビジネス書がありますが、そこには大きく成長するような会社の経営者は、まず誰をバスに乗せるかを決めた後に行き先を決める。採用する人を決めてから、その人の能力を生かすためにどんな事業をするか目的を決めるといったことが記されているんですね。それを読んで「なるほど、理想だな」とは思っていたのですが、GENDAという会社はそれを地でいっているところがあり、そうした経営のあり方がグループの急成長・急拡大につながっていると実感していました。

私は出向によりGENDAというバスに乗るチャンスを得ましたが、出向者のままだと客人として補助席に座っているような、いつでも降りられるような定まらない居心地の悪さがあり、自分も座席をもらって、そこにどっかりと座りたい、と思ったのです。それでこそ胸を張ってGENDAの一員だと言えると考えました。バスの席からは素晴らしい景色も見られるのではないかという期待感もあり、上長に相談したところスムーズに転籍が決まりました。

愛着あるGiGOと
GENDAの橋渡し的な役割を担いたい

と思いきや、2024年2月からGENDAの人事総務部長とGGEの取締役管理本部長を兼務することになったのです。一大決心をもって慣れ親しんだGiGOから転籍したのに、まさか半分戻るような形になるとは(笑)。ですが、長い間お世話になり、愛着あるGiGOに恩返しできるいい機会だと思い、兼務を受諾しました。取締役管理本部長というのは人事部、経理部、総務部を管掌する立場です。兼務は正直いって大変ですが組織の再構築や必要な人材の採用などを行い、両立ができるようになってきています。

転籍前にGiGOにいた頃、GENDAからの情報が不足しているのではないか、コミュニケーションがあまり取れていないのではないかということを時折感じていたのですが、兼務によりGENDA側の情報や動きをGiGO側にスムーズに伝えられるようになりました。両社の橋渡し的な役割が担えることは、兼務の大きなメリットだと思っています。

GENDA従業員に適材適所で活躍してほしい。

GENDAの人事部長として今後取り組みたいことは、「優秀な人材を適正に用する」「採用を強化する」「社員のエンゲージメントを高める」の3つです。

1つ目の優秀な人材の活用というところでいうと、GENDAとGiGOについてはどんな人材がいるかある程度把握できているのですが、他のグループ会社についてはまだまだです。GiGOの前任の管理本部長がカラオケ事業のシン・コーポレーションの代表取締役として異動したように、今、グループ内で畑違いの業種の間でも人材交流が起き、活躍の場が広がっています。この会社でこんな人材を求めているといったときに、適材適所な人を割り当てられるようにしたいですし、社員の「こんなことをしたい」という声を拾って、チャレンジできるポストを提供できるような仕組み作りもしていきたいですね。

2つ目の採用の強化ですが、さらなるグループの成長には、それを支える人材をどう集めるかが大きなカギになると考えています。誰にバスに乗ってもらうか、そこはこだわりながら取り組んでいきたいです。GENDAでいうと、少し前から採用専門のマネージャーを置き、諸々の仕組みの構築を進めているところです。社員からの紹介によるリファラル採用も継続しつつ優秀な人材をどんどん採用できるようにしていきたいです。

3つ目のエンゲージメントについては、M&Aによりグループインした従業員も含め、気持ちよく働いてもらえるような環境作りを推進していきます。2025年2月から主にテックチームの採用をみていたHRBP(Human Resource Business Partner)のメンバーが人事部所属となり、更に全社の活躍を後押しできる体制となりました。全社を横断するサークル活動や、社員同士がリスペクトし合って仕事のモチベーションをアップする仕組みなども積極的に取り組んでいます。

会社の規模が大きくなるに連れ、できるようになること、見直しが必要になることが出てくると思いますし、やるべきこと・やりたいことは山積していますが、優れた従業員たちが適材適所で気持ちよく働けるようになれば、必ずGENDAの成長に繋がっていくと信じています。そこに尽力することで、私自身もバスの中から最高の景色を眺めたいですね。

紹介したM&Aの概要

株式会社セガ エンタテインメント。アミューズメント施設「SEGA」を約200店舗運営。(2020年12月時点)2020年12月にGENDAに株式85.1%を譲渡、社名をGENDA SEGA Entertainmentへ変更。2022年1月にGENDAに株式を100%譲渡し現在の社名である株式会社GENDA GiGO Entertainmentに。

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