#1 GENDAグループ傘下に入ったという強みを最大限に生かし、アミューズメント事業を多方面に発展させたい【スガイディノス】

株式会社GENDA GiGO Entertainment 執行役員 
北海道東日本営業本部 本部長
三浦尚久

略歴
1994年、北海道に本社を構える須貝工業株式会社(現SDエンターテイメント株式会社)に入社、経営企画部長やGAME運営部長を経て、2018年株式会社スガイディノス代表取締役に就任。約30年間アミューズメント業界に従事する。2022年10月にGENDA GiGO Entertainment 執行役員に就任。2023年4月より現職。今までの経験を活かし、北海道エリアだけではなく東日本エリアも統括。

資金不足にコロナ禍の打撃・・・
GENDA片岡会長からの1本の電話が命運を変えた

GENDAに事業譲渡する前は、2018年12月に北海道SOキャピタルが管理するファンドの出資を受け、アミューズメント事業を運営していましたが、正直、事業を展開するための投資資金が不足し、経営的に苦しい状況が続いていました。そこに2020年からのコロナ禍の影響が加わって債務超過に陥り、2022年5月30日に札幌地方裁判所に民事再生法適用を申請しました。

GENDAの片岡会長とは、共通の知人を介して2度ほどお会いしたご縁があり、民事再生申請の前に一度事業譲渡の相談をしています。そのときには「ゲームセンター事業だけなら」という返答をいただきました。ありがたかったのですが、まだ複合アミューズメント事業に未練があったので、別のパートナーを探し、個別のスポンサー付き民事再生という形で申請したのです。

そのタイミングで、報道により民事再生適用申請を知った片岡会長から改めて「うちにもスガイディノスと一緒になる権利があるのでは」という趣旨の電話をいただきました。これが命運を変えたと思います。片岡会長は裁判所にも働きかけ、それがきっかけとなって2022年6月に公募制の民事再生に切り替え、競争入札を実施する運びとなったんですね。結果、一番高い値を付けてくれたGENDAに合流することになりました。

事業規模が20倍になる不安と裏腹に
GENDAグループは辛抱強く耳を傾けてくれた

競争入札だったため、GGEとの事業統合業務は急ぐ必要がありました。スガイは約100年アミューズメント事業を続けてきた会社でしたので、良くも悪くも事業のやり方には様々な癖が付いていました。その点はGGEにご苦労をかけたのではないかと思っています。

こちらとしては事業規模が20倍程度大きなGGEとの統合に当たり、ある程度齟齬が生じるのは当然だと想定していました。特にゲームセンター事業以外については、ご理解いただくのに時間がかかるのではないかという懸念がありましたが、GGEはこちらの事業の仕組みなどに辛抱強く耳を傾けてくれたので非常に助かりました。スガイは今回の事業譲渡の前にも3回経営母体が変わっているため、ある意味、私も従業員も変化耐性は付いていて、何か齟齬があっても一時的なことだろうと受け止めることができたのもよかったかもしれません。

ゲームセンター事業はGGEもスガイもお互いメインに据えている事業ですので、こちらのやりたい方向性に理解を示していただけたり、至らぬ点は軌道修正していただけるなど心強かったです。時間のない中での統合作業だったのでもちろん苦労はあり、不採算店舗を閉鎖するという痛みも伴いましたが、トータルで見るとスムーズに進んだのではないかという印象を持っています。

格段にあがった商品力で顧客満足度向上
売上もコロナ禍前の水準を超えた

GENDAグループの一員になることにより、ゲームセンター事業についてはプライズゲーム機の景品の商品力と収益性が格段にアップしています。全国に約260店舗展開(2023年11月末時点)している「GiGOグループのお店」の景品はアニメ関連や人気ユーチューバーとのコラボなど、お客様を惹き付けるオリジナルの商品がラインアップされていますし、商品の仕入単価はスケールメリットにより下がります。おかげさまで店舗の売り上げや利益が大きく改善され、既にコロナ禍前の水準を超えています。

また、店舗運営も改善されています。スガイでは従業員の裁量に任せていたところがありましたが、大きな組織に入ったのでそのままというわけにはいきません。GGEのエリアマネージャーの助けをお借りし、GGE流の店舗運営では「どのようにお客様に喜んでもらい利益を出すのか」、そのあたりを従業員に丁寧にレクチャーしてもらったことは有益でした。これにより、月毎の売り上げの波が大きくぶれることが少なくなり安定感が出てきています。

ボウリング事業については、個別のお客様とのお付き合いが長期にわたるケースもあるという特性をご理解いただけたことがありがたかったですね。例えばボウリング教室だと5年、10年通ってくれるお客様もいらっしゃいます。ボウリングのボールの価格は5万〜10万円程度するので、お客様に合った商品を選んでいただけるよう時間をかけて販売します。このようなやり方には効率の悪い面もありますが、GGEのノウハウも取り入れさせてもらうことで、売り上げなどの面でもじきにコロナ禍前の水準を回復しそうです。


新しい文化に戸惑いながらも、
GENDAグループの一員になったことで上がるモチベーションも

事業の規模感の違いからくるGGE流の仕事の進め方に、スガイの従業員はまだ戸惑い、不慣れなところも散見されますが、それも徐々に時間が解決すると楽観しています。スガイよりも遥かに規模の大きな企業に引き継がれたことで、相対的に例えば社内におけるステータスが、例えば部長から課長へと変わることでモチベーションが下がってしまうようなケースはゼロではなかったと認識しています。とはいえハードルは上がるものの、今後部長職に着けないわけではない。競争できる立ち位置にはいるわけなので、そのことは大事にすべきだと思っていますし、従業員にもそう話していますね。

一方で、ゲームセンター事業とボウリング事業がGGEに引き継がれることが決まったとき、従業員たちが前向きに捉えている様子は印象的でした。先程も触れましたが、スガイでは3度経営母体が変わり、これが4度目。今回はセガサミーグループのゲームセンター事業を引き継いだ企業だということで圧倒的な安心感を抱いたようです。北海道のアミューズメント会社に就職したつもりが、世界市場を狙うような企業の一員になるのだという期待感から、仕事へのモチベーションが上がった社員も多かったように思います。

GENDAグループの信用力、ブランド力を実感
札幌の店舗展開に注力し、北海道ナンバーワンを目指す

私の話を少しすると、現在は北海道エリアに留まらず、東日本エリアを任されています。スガイ時代よりも大きな規模で店舗運営に関わることが出来ていることは、大きなモチベーションにもなりますし、同時に重責を担っているなと感じます。GENDAは、世界一のエンターテイメント企業を目指していますが、それを実現するために必要なことは何か、ということも考えるようになりました。私自身はアミューズメント事業を総合的に手掛けたいという意欲を持っていますし、ゲームセンターにこだわらず遊び場の選択肢をたくさん提供することが、好みが細分化された時代に合った方法だと考えているので、今までの経験を還元していきたいですね。

私の得意分野は「視点を変えること」。まだ具体化はしていませんが、ボウリング事業に関してはいろいろなアイデアをあたためていますし、既存のアミューズメント施設運営でも視点を変えることで、そこから新たな事業が生まれると考えています。今後もそうして生まれたアイデアを事業としてしっかりと実現させていきたいです。
 
足場固めとして、まず北海道ナンバーワンを目指します。北海道での店舗展開における本家本丸はやはり200万都市である札幌でしょう。ところが現状は札幌の店舗数が手薄なので補強しなければなりません。幸い、GENDAグループという大きな信用力やブランド力からデベロッパーさんからいただく店舗開発案件は豊富で、2024年1月末にはすすきのの中心部に出店する予定です。M&A以降、初の「GiGO」ブランドとしての出店です。前社からGGEに譲渡された店舗は現状「ディノス」の名称を残していますが、私としては特段こだわりはなく、「GiGO」を名乗れる順番待ちをしているところです。GENDAグループ傘下に入ったという強みを最大限に生かしながら事業を発展させていくことがこれからの私の使命です。

紹介したM&Aの概要

株式会社スガイディノス(本社:北海道札幌市、以下スガイ)。北海道でゲームセンター事業、ボウリング事業、映画館事業を展開。創業時の須貝興業時代から数えると100年の歴史をもつ。ゲオホールディングス、ライザップグループ、北海道SOキャピタルを経て、2022年9月30日にゲームセンター事業とボウリング事業をGENDAグループのGENDA GiGO Entertainmentに譲渡、映画館事業をGENDA GiGO Entertainmentと佐々木興業が協業するディノスシネマに譲渡。