2024年2月、全国に「カラオケBanBan」ブランドでカラオケボックスを展開するシン・コーポレーションが、GENDAに加わりました。同社が運営するカラオケ事業は、グループイン後のPMIが奏功し、期初計画と比較して第3四半期時点で大幅な増益を達成しています。また、シン・コーポレーションはグループイン1年目にして、設立35年となる今期に最高益を達成する見込みです。
今回、「カラオケ時遊館」のグループインにより、合計約390店舗のカラオケボックスを展開することとなりました。カラオケ領域ではPMIとして、グループでのシナジーを発現するべく売上向上施策及びコスト削減施策を行ってまいりました。
【売上向上施策】
- ゲームセンターとの複合店舗の開発・新規出店

(2024年12月10日開示「2025年1月期 第3四半期決算説明資料」26ページ)
こちらは、もともとカラオケBanBanのみで2階分を営業していた桑名店の建屋を、1階をGiGO + 2階をカラオケBanBanとした初の複合店です。結果、同じ建屋を使いながら、GiGOとカラオケBanBanとなったことで、売上が前年同期比の2.2倍になりました。
カラオケ事業自体が、当初予算を大幅に上回っていることは既報の通りですが、これらの本格的なシナジー効果により、更なる成長余地があると考えており、今回の23店舗のM&Aに際しても、ロールアップM&Aの醍醐味が発現できると考えております。
- IPコラボレーションの展開、F&B領域の飲食商品の提供による売上の相互拡大

(2024年3月11日開示「2024年1月期通期決算実績及び2025年1月期業績予想」34ページ)
- GENDA IDを活用した顧客囲い込み施策の強化

- ゲームセンターとの近隣店舗間での相互送客
店舗間相互送客は、1km圏内の双方の店舗で6月より送客施策を実施しておりました。対象店舗は、GiGO 75店舗、カラオケBanBan 67店舗で、サービスチケット配布や、施策ポスター掲示をしておりました。

【コスト削減施策】
- GENDA一体での消耗品等の共同購買など、ロールアップM&Aの妙味であるコスト効率化
- GENDAのグループファイナンスによる資金効率化
バリュエーションの観点では、カラオケボックスはゲームセンターに比べ、機器の更新投資が少なくて済む為、投資回収期間が短いという特長を有しています。具体的には、ゲームセンターのEBITDAからフリーキャッシュフローへの転換率が約50%であるのに対し、機械投資やメンテナンスCAPEX(維持更新投資)が少ないカラオケボックスでは同指標が約70%に達します。このため、仮にゲームセンターとカラオケボックスのM&Aが同じEV/EBITDA倍率で実施された場合、カラオケボックスの方が投資回収期間は短いというメリットがあります。
今回の「カラオケ時遊館」の取得では、EV/EBITDA倍率が7x台(直近実績値)となりましたが、上記EBITDA to FCFに鑑みると、ゲームセンターにおけるEV/EBITDA倍率5x台のM&Aと投資回収期間が同程度です。さらに、上記のバリュエーションは「同事業23店舗単体」の「前期実績値」に基づいていますが、これを「連結約390店舗」で「グループシナジーが発現し」、さらに「コロナ禍後の客数回復基調」の「来期以降の業績」で評価すると、回収期間はさらに早期化する見込みです。
なお、上記の「EBITDA to FCF」はEBITDAとFCFの割合(FCF÷EBITDA)を示しています。その背景として、実際の投資回収の原資はEBITDAではなく、そこから税金やメンテナンスCAPEXを控除したFCFとなるため、M&Aの成否の判断に投資回収を据える当社として重要な投資判断基準としております。
一方で、FCFは単年のCAPEX額で大きく変動する為、簡易的にEV / EBITDA倍率を参考指標とするのが一般的ですので、開示が可能な場合にはEV / EBITDA 倍率を開示しております。
当社は、適切なバリュエーションでの投資を最優先にしております。また適切なバリュエーションでエントリーしやすくPMIの型が出来上がっているゲームセンターのロールアップをM&A戦略の一丁目一番地としていますが、現在予算対比で大幅に上振れしているカラオケ事業のロールアップも投資回収効率の観点から大きな意義を持つと考えています。