借入による資金調達で実施するM&Aが多いが、金利の上昇に伴う影響はどの程度か。

結論として、金利上昇による影響が軽微であるということをご説明させて頂きます。理由は適切な価格でのM&Aができているためです。詳細は以下の通りです。

まず、当社の過去のM&Aでは、大部分を借入により資金調達してまいりました。その際の条件の多くは8年均等返済です。

本資金の返済原資は、対象会社のフリーキャッシュフロー(FCF)に一義的に依拠します。つまり、M&Aによりグループインした会社のフリーキャッシュフローが(案件特性はありますが)M&A対価に支払った金額=借入金に対して、8年以内に返済ができることが前提となっています。

対象会社が永続企業である前提に基づくと、8年以内の返済という条件は、投資利回り換算で年率12.5%(100÷8)以上に相当します。また、ゲームセンターやカラオケを中心に、シナジー効果もあり、対象会社がグループイン後に大きく成長していることは既報の通りです。

結果的に、過去のM&Aでは回収が5年(利回り20%)、4年(同25%)、3年(同33%)・・・といった実績もあります。これは負債込みの利回りであり、当社の加重平均資本コスト(WACC)に対応する利回りですが、上場企業に求められる水準を有意に上回っていると考えております。

更に、当社のM&Aは負債調達が大部分を占めるため当社の手出しが抑制されていること、その大部分を占める負債のコストが1%強で済むことから、負債を除いた株式の投資利回りは上記の12.5%~33%といった数値から大きく跳ね上がります。これは当社の株式資本コストに対応する利回りですが、更に有意に上回る水準で運用できていると考えております。

金利の話に戻すと、1%程度の金利で調達した資金を、上記の利回りで運用していることになります。従って、極端なケースですが、当社の借入金利が突然2%に上昇しても、大幅な利鞘を確保することが可能です。

比較の観点で、金利上昇のネガティブ影響が大きいケースをご説明させて頂きます。それは運用利回りが低いケースです。例えば利回りが5%のケースを見て参ります。

利回り5%のM&A案件(つまりM&Aの支払い対価の回収期間20年)を金利1%の借入で資金調達したとき、金利が2%に上昇すると、利鞘は4%(5%-1%)から3%(5%-2%)になり、利鞘自体は依然としてプラスですが、利回り自体は25%減(3%÷4%-1)となり、案件による利益貢献額も25%減となります(実際には負債の節税効果により、もう少し軽減されます)。

このように、当社は適切な価格でのM&Aを徹底することで、金利変動に対しても大きなバッファーを確保しています。

また、支払利息金額の観点からは、2025年1月期第3四半期末時点での有利子負債残高486億円に対し、仮に金利が1%上昇した場合でも、利息増加額は年間で4.86億円の増額に留まります。この場合、2025年1月期の償却前営業利益(EBITDA)は212億円(2024年12月24日時点予想)から207億円へと減少し、償却前営業利益の成長率が+60%から+58%に低下しますが、当社の長期的な成長戦略への影響は限定的です。

適切な価格でのM&Aの結果、当社のキャッシュフロー指標は、成熟産業で連続的なロールアップ型M&Aを行う他社と比較しても最高水準にあります。

 GENDAWaste ManagementService CorpRollinsDanaher
営業CF増加額÷ 投下資本増加額約25%約20%8~9%約25%約10%

「Capital Growth Strategies レポート」20ページより作成)

現在、再投資によってさらなるキャッシュフローを創出する案件が多数存在する状況下において、当社ではM&Aにより増加した対象会社のキャッシュフローを蓄積するのではなく、更なる投資の原資としており、投資可能な本日現在はFCFを最大化しようとしておりません。よってこのように投資実績で見る場合、営業キャッシュフローを用いております。

EBITDA 10億円の企業を、50億円で取得するのと500億円で取得するのは、投資の安全性観点で大きな違いがあります。しかし、どちらのケースでもPLにはEBITDA +10億円としてのみ計上されてしまいます。

このように、キャッシュフロー指標はその実力値がPLには表れないため、当社の本源的な価値はキャッシュフローにあると考えているものの、一方で、当社は上場企業に於けるM&A件数が2年連続でM&A件数1位を獲得するなどスピード感を持ってM&Aをし、結果的にPLが大きく成長できているのは、適切なM&Aと高い利回りの確保といった背景があります。 M&Aによりグループインした企業のキャッシュフローは、シナジーやPMIでさらに拡大しています。この強力なキャッシュフローの基盤により、当社の戦略の安定性は、金利の上昇に対しても十分に担保されています。

Tag: 2025年1月30日 回答