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公募増資による希薄化を、会社としてどう考えているのか?

公募増資による希薄化、というご懸念自体は一般的でごもっともだと考えております。

こういったご質問に、会社としていち早くご回答差し上げたかったものの、公募増資の完了前に発行体が明示的に言及することは、制度上叶わないものでした。従って、公募増資完了直後の最速のタイミングである本日がご回答日になりますが、ご理解頂けますと幸いです。

結論として「公募増資で株数が増加しても、利益成長がそれを大きく上回るため、むしろ一株当たりの利益が増加している」ということを後段でご説明致します。ですが、まずはそれを直感的にご理解頂くために、仮の話をさせて頂きます。

たとえば、前回の2024年7月の公募増資100億円にて、今回の2025年5月の公募増資185億円を同時に行い、合計285億円の公募増資を2024年7月に全額(1,021円ではなく)969円で実施し、その285億円を1円も使用していなかったとしても、一株当たりの利益(EPS)が増加している状況です(EPSはIFRSの当期利益(のれん償却前当期純利益)ベースを示す)。

このような事態が起きているのは、当社の公募増資によって負債調達余力が飛躍的に増加したこと、そして何より、当社がEPSを最重要指標とし、「株数の増加」を大きく上回る「利益の増加」が実現できたためです。これは以下の要素が複合的に機能した結果です:

・シナジー無しの対象会社単体で、「債権者+株主向け」のリターンが高いM&Aを厳選

・そこから更に適切な範囲で可能な限り借入を活用し、「株主向け」のリターンを極大化

・その発射台からPMIを通じたシナジー創出により、リターンを底上げ

次に、実際の話を実績値でお示しさせて頂きます。まず、昨年の公募増資(約100億円)が、EPSを大きく成長させた実績をご説明致します。

昨年の公募増資(約100億円)は開示通り1年以内にM&Aへ使用することができ、結果;

株式数は約+7.0%増加(公募増資の希薄化率)した一方、

調整後のれん償却前 当期純利益は+31%増加(税金影響を除くと実力値で+97%増加)し、

EPSが+19%増加(両者の割り算、分母は株式交付M&Aにより更に増加)しました。

今回の公募増資(約185億円)も、1年以内に借入と共に速やかに魅力的なM&Aへ使用することを開示しておりますが、

株式数は約+10.9%増加(公募増資の希薄化率)し、

・のれん償却前 当期純利益を前回同様に伸ばしたうえで、

・EPSを極大化させて参ります。昨年同様、次のページで試算致します。

まず、M&Aの簡易的な前提として以下を想定致します(恣意性が無い事をお示しする観点、及びM&Aの成長をご理解いただけるよう、今回はExcelも用意致しました)。

⓪ 当社の公募増資前のNet Debt(純有利子負債):    625億円

(Player One買収後の来期予想の連結EBITDA 250億円で、Net Debt / EBITDAは2.5x)

① 公募増資で調達した現金の将来M&Aへの充当額:    155億円

(開示の通り、手取り金185億円の内、30億円はPlayer OneのM&Aに充当を想定)

② 株式交付 / 株式交換での将来M&Aへの充当額:     177億円

(ロックアップ期間中でもM&Aであれば発行可能である株数(10%)に限定)

③ 有利子負債で調達する現金の将来M&Aへの充当額:  600億円

(将来M&Aの合算後 Net Debt / EBITDAで2.7x。なお、3.0xだと884億円まで調達可能)

④ M&Aのバリュエーション: EV / EBITDA 5.0x

(この結果、実質的に想定されているのは、過去水準同様の5.0xでM&A後にゼロ成長か、

或いは例えば6.0xで買収した場合に、シナジーでEBITDAが20%成長したケース)

⑤ その他、簡略化の観点でオーガニック成長は一切無し

(ただし、国内の既存事業や北米の成長は公表の通り)

上記前提で、3つのKPIであるEBITDA、のれん償却前当期純利益、EPSを試算します。まず、①+②+③で合計932億円を本日以降のM&Aに充当可能という想定となります。

EBITDAの増額は932億円÷5.0x=+186億円となります(なおこの分析では簡略化の為に、Player OneはEV / EBITDA 8.5xでの買収ながらゼロ成長という想定となりますが、実際には中長期的にEBITDA 75%成長を想定しており、実質的なEV / EBITDAは4.8x想定となります)。

のれん償却前当期純利益も簡易的に、現在の来期予想EBITDA 250億円とのれん償却前当期純利益95億円のマージンと同じ(つまり今までと同じ業態を同じ借入条件でM&Aをする)という前提を置くと、のれん償却前当期純利益は約+71億円増加します。

EPSには株数が関係しますが、仮に保守的に②の株式によるM&Aの際の株価が公募価格の969円のまま(つまり今後株価が上がらず、株数の増加が多かった)場合であっても、公募増資前の58.40円対比でEPSは+41%増の82.51円となります。

つまり、あくまで上記前提であれば、今後公募増資をせずとも、当社のKPIへの効果は以下と逆算されます(①の公募増資額は、開示の通り1年以内に全額M&Aへの充当を想定)。

償却前営業利益(EBITDA):  250億円 (2027/1期予想) → +186億円                          →      436億円

のれん償却前当期純利益:   95億円  (2027/1期予想) → +71億円                          → 166億円

・EPS(2027/1期予想無し):  58.40円 (公募増資前)  → +41%                            → 82.51円

以上の試算は、株主の皆様から希薄化への懸念を中心としたご質問が多数寄せられたため、可能な限り恣意性を排除した機械的計算に基づいて、あくまでご参考までに用意させて頂きました。

一方、当然ながら当社の公式な会社予想を示すものではなく、今後のM&Aによって大きく変動致します。開示が必要になった際には速やかに開示させて頂きます。

最後に、公募増資の資金を過去の負債返済や事業維持投資に充てた場合は、EPSの押し下げを招き、“希薄化”という指摘は免れません。

その観点で、冒頭の極端な仮定の話は、285億円が全額過去の投資に充当された場合と同じであり、そうなっていてもEPSが上がっていることはお示しした通りです。

実際には、当社の公募増資は全額が本日以降に支払うM&Aに使用されます。前回の公募増資を経て、EPSがむしろ大きく向上した実績は、既に申し上げた通りでございます。

一昨日の水曜日、当社の現預金口座には投資家の皆様からの185億円が無事に入金されました。今回も前回同様、株数増を上回る利益増が見込まれるM&A案件群への投資を直ちに再開してまいります。

今回は前回の公募増資の2倍弱の金額を預からせて頂きましたので、株主の皆様を代表して、大切に使用させて頂きます。

※ 各計数の試算シミュレーションに関する注記:当社が仮に他のエンターテイメント企業を、一定の前提条件(買収資金の調達に関する各前提条件、調達資金の使途に関する各前提条件、及び各対象会社を買収したと仮定した場合のシナジーに関する各前提条件)のもとに、100%買収したと仮定した場合において、当社のEPSがどのように変化するかを機械的に試算した結果(ケーススタディ)を示したものであり、当社が特定のエンターテイメント企業を買収する予定があることを示すものでも、当社の将来のEPSの予想値を示すものではありません。本シミュレーションに用いた数値について、シミュレーションに用いる前提条件が異なれば、試算により算出される結果も異なります。本シミュレーションに用いた各前提条件は当社が本シミュレーションのために独自に設定したものであり、実際の買収(その前提として行われる資金調達及び各対象会社を買収したと仮定した場合のシナジーを含む)が同様の条件で実行又は実現することを示唆するものでも、これを保証するものでもありません。また、当社による他のエンターテイメント企業の買収が、将来的に実施されることを保証するものでもありません。

Tag: 2025年5月30日 回答