Top News EBITDA 750億円を目指すストックオプションはM&Aの規律を崩すのではないか?

EBITDA 750億円を目指すストックオプションはM&Aの規律を崩すのではないか?

そもそもM&Aの規律を崩すこと自体が現実的にはほぼ不可能な構造となっており、当社が上場来で最も重視してきた「M&Aの規律」は変わりません。

理由は以下の2点です。

① 当社は、余剰資金を自己の裁量で自由に使える状態ではなく、M&Aのたびに資金調達の審査を受けざるを得ないため、規律なきM&Aを強行が実質的にできないこと
② 理論上、株価を無視した株式発行によるM&Aも可能性としては存在するが、今回のインセンティブは現金ではなく新株予約権であり、株価を上昇させなければ一切メリットが生じない仕組みなので、株価の向上自体が明確なインセンティブとなること

それぞれ説明させて頂きます。

①当社は、余剰資金を自己の裁量で自由に使える状態ではなく、M&Aのたびに資金調達の審査を受けざるを得ないため、規律なきM&Aを強行が実質的にできないこと

仮に、当社に潤沢な自己資本や手元現預金が存在していれば、自己判断だけで無理なM&Aを実行できるリスクがあるかもしれません。しかし、現実は異なります。

当社は創業から8年目、まだ7期分の決算しか積み上げていない発展途上の企業です。そのため、M&A実行のたびに債権者や投資家から資金調達とその審査を受ける必要があります。

特に当社が中心的に行う借入によるM&Aでは、債権者である金融機関は「ダウンサイドリスク」に厳格な目線を持っておりますが、当社は(株式投資家には非公開な)M&Aの詳細情報を債権者には共有した上で、資金調達の決裁を受けるプロセスを経ています。

このため、仮に我々が規律を無視した無謀なM&Aを志向しても、資金調達ができず、実行不可能となります。

→ 結果として、当社は常に「規律あるM&A」しか実行できない構造にあります。

もっとも、株式による資金調達について、念のため補足いたします。当然ながら実務上そのような事態はあり得ませんが、理論上のみを申し上げれば、上場企業である以上、株式価値を無視して強引に新株発行をして資金調達を行うこと自体は、絶対に不可能とは言えません。

しかしながら、そのような事態が現実に起こり得ない理由は、単なる倫理や信義則の問題ではなく、今回設計した新株予約権インセンティブが、そうした行動を経済合理性の面からも抑制する仕組みとなっているためです。②でご説明させて頂きます。

②理論上、株価を無視した株式発行によるM&Aも可能性としては存在するが、今回のインセンティブは現金ではなく新株予約権であり、株価を上昇させなければ一切メリットが生じない仕組みなので、株価の向上自体が明確なインセンティブとなること

今回導入するストックオプション(新株予約権)の設計自体が、M&Aの規律を崩すインセンティブを持たないことをご説明致します。

まず仮に、「EBITDA 750億円を達成すると『現金で』ボーナスを支給」というインセンティブだった場合、株価を犠牲にしてでもEBITDAのみを追求する動機が働きかねません。

しかし今回は新株予約権ですので、「発行時株価以上」でなければ行使できません。発行は本年度中を想定しており、そこで発行時の株価が確定致します(但し、業績条件及び在籍条件の両方を達成した場合のみ行使可能となるため、2030年1月期決算が確定するまで希薄化が発生することはありません)。

その発行時の株価を超えた額分だけが、インセンティブとなります。分かりやすく例を挙げると、たとえば株価@1,000円で1,000株割り当てられた役職員の場合、2029年1月末まで在籍し、2030年1月期にEBITDA 750億円を達成した際を考えます。

株価が1,000円のままだと、1,000,000円分の新株予約権が行使可能となりますが、その行使に際して1,000,000円を支払う必要があるので、インセンティブはゼロです。同様に、仮に株価が5,000円になっていたら、5,000,000円分となり、行使時に1,000,000円を支払うため、4,000,000円がインセンティブとなります。

つまり今回のインセンティブは「株価が上がって初めてメリットが生まれる」設計です。

加えて、特にM&A情報にほぼ常時触れている当社役職員は、外部株主の皆様と異なり、株式の売却には大きな制限があります。今から約5年後に初めてGENDA株式を行使可能となるうえ、行使時には最初に行使価格の支払いが発生します。

従って、株価がわずかにでも上昇すればよい、というものでもないことがご理解いただけるものと存じます。

以上の通り、利益成長とともに株主価値を極大化させること、より厳密には、「一株当たりの株式価値を極大化させること」が、役職員自身の利益にもつながる設計となります。

以上より、当社は、資金的制約に伴うM&A案件ごとの厳格な資金調達審査と、ストックオプションにおける健全なインセンティブ設計という二重の安全装置のもと、M&Aにおける規律を構造的に逸脱が困難な構造となっております。

たとえこれらの仕組みが存在しなかったとしても、私たちは今後も一貫して「規律あるM&Aによる成長」を志向し、加速させてまいります。 これからも株主の皆様をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様に真摯に向き合い、着実かつ持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。引き続き、変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

Tag: 2025年4月30日 回答